日本のスポーツバイクブランドTHIRDBIKESが、日産系の自動車部品大手ジヤトコと組んで電動アシスト自転車「FESGLIDE」を16万9400円で投入する。注目すべきは、CVT(無段変速機)で世界トップシェアを持つジヤトコが、その駆動制御技術をe-BIKEに転用した点だ。自動車産業の電動化が進む中、部品メーカーが新たな収益源を二輪市場に求める動きが本格化してきた。
参考: THIRDBIKESがジヤトコ製ドライブユニット搭載のe-BIKE「FESGLIDE」を投入(carview.yahoo.co.jp)
分析・見解
ジヤトコの参入は、単なる異業種進出ではなく、自動車部品サプライヤーの生き残り戦略として極めて合理的だ。同社はCVTで培った精密なトルク制御と変速アルゴリズムを持つが、自動車のEV化が進めばCVT需要は縮小する。一方、e-BIKE市場は2030年までに世界で年間5000万台規模へ成長する見込みで、駆動制御技術の需要は拡大する。特に都市部では自転車レーンの整備が進み、ラストワンマイル移動手段としてe-BIKEの実用性が高まっている。16万円台という価格設定も戦略的だ。欧州製の高級e-BIKEは30万円超、中国製の廉価品は10万円以下という二極化の中で、日本メーカーが品質と価格のバランスを取れる唯一のゾーンがこの価格帯になる。ジヤトコの量産技術とサプライチェーンを活かせば、この価格でも十分な利益率を確保できる。また、1サイズ展開という割り切りも、初期投資を抑えつつ市場反応を見極める賢明な判断だ。さらに重要なのは、自動車メーカーとの既存関係を活かしたカーシェア・MaaS連携の可能性だ。日産やホンダが展開する都市型モビリティサービスに組み込まれれば、e-BIKEは単体商品から移動サービスの構成要素へと変わる。
ビジネスへの影響
企業の移動手段見直しを検討する総務・施設管理部門にとって、この動きは重要なシグナルだ。従業員の近距離移動にe-BIKEを導入する企業が増えているが、これまでは海外製か無名ブランドしか選択肢がなかった。日本の大手部品メーカーが品質保証する製品が手頃な価格で登場したことで、福利厚生や営業車両の一部をe-BIKEに置き換える施策が現実的になる。また、不動産デベロッパーや商業施設運営者は、駐輪場やシェアサイクルステーション整備の判断材料が増えた。自動車メーカー系列のe-BIKEなら、将来的にMaaSプラットフォームとの統合が期待でき、テナント誘致や施設価値向上につながる可能性がある。